登山家だけでなく、人間として凄い。
日本山岳界のドン(首領)小西政継氏の生涯を描いた作品。
青年期は、マッターホルン北壁・エベレスト南西壁・グランドジョラス北壁に挑戦し、山岳会での知名度を高めた。
壮年期は、山学同志会の牽引者としてジャヌー北壁・カンチェンジュンガ北壁・チョゴリ(K2)・エベレスト南西壁などに数多くのクライマーを挑戦、登頂させた。
熟年期は、ダウラギリI峰・シシャパンマ中央峰・マナスルに登頂。
小西氏の凄さは、登攀記録だけではない。
人生でもっとも良い仕事が出来る40歳代には実業家として山岳界に関わり、その後の足がかりとした。
そして実業家としてのある程度の成功を見極めた時点で、改めて登山に向かう決意をする。
そこで小西氏の真骨頂を見る。
若き日には頑固に拒否した酸素ボンベの使用をあっさりと認めるのだ。
自身いわく「登山はその時々のやり方で挑戦し、楽しめば良い。」
彼の生き方は、頑固でありながら実にしなやかで柔軟。
登山家という側面だけでなく、人間として憧れる部分が多いのではないだろうか。
激しすぎる? けっこうまともな夢
命を賭けたリスキーで先鋭的な登山に賭け、自分にも、人にも厳しい男の試練とは、結局何だったのか? 人に恵まれ、仕事や健康、運、など結構いい環境で登山をやってたんですね。てな感想を持ってしまうのは、山仲間の小西さん評がないからか? でも厳しい男が対峙せざるを得ない、人間関係のトラブル、克服の苦労を伝えてくれる。山仲間の友情がキレイゴトでないのもよくわかった。普通の遠征記はみんなかっこいい冒険譚になっているのが昔から不思議でならなかったから、この本のおかげで山の人間のリアリズムに少し触れられた。
一言で
一言でいえば、切ないなと思いました。 登山関係の本を何冊か読みましたが、やっぱり思うのはノンフィクションであるからこそ心にしみます。 登場人物はすべて自分と同じ世界に実在して生きているんですもの。この本を読んで、小西さんの人生を外から感じ、自分の人生をまた振り返ってみました。
山と溪谷社
小西さんちの家族登山―妻が語る登山家・小西政継の素顔 残された山靴―佐瀬稔遺稿集 狼は帰らず―アルピニスト・森田勝の生と死 (中公文庫)
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