タクティクス!
重廣さん、登山界では超有名人?なんだよね。 まだ「本」でしか登山を知らない、山ちょいかじりの私にも、「山をやる人」と「その人の周辺」の世界がようわかりました。全体は、(1)輝かしくも苦しき彼自身の登攀記録、(2)彼が指揮官の立場となっての登山、(3)日本百名山、と3部に分かれているが、 私は指揮官としての「登頂しない登山の喜び」章が好き。 目標(頂上)制覇のために行われる綿密な計画、冷静な判断…タクティクスと呼ばれる一連の作戦のありようは、ビジネスにも通ずる哲学だ。 それにしても山をやる人の周辺てのは、家族も企業も、なんてまぁ寛大なのか…
ある世界的登山家の自伝
エベレスト、K2,カンチェンジュンガなど世界の高峰やナンダデビイ縦走や難峰ラトックの登頂などに成功した世界的な登山家の自伝である。73年から95年まで22年間に12回、ほぼ2年に一回の割合でヒマラヤ、特にそのほとんどが八千米クラスのジャイアンツに挑んでいる。すぐれた体力、精神力はもとより、勤務先や家族の理解、援助なしにはなし得ないことであり、著者の人柄がしのばれる。きびしい自然の中で著者は多くの危険を回避しているが、これは幸運にもよるが、自然に対する深い知識、経験によるものである。そこは淡々と書かれているが、いかにそこに自然との戦いがあったかが窺い知ることができる。 最後に日本百名山の123日で達成した話があるが、それまでの話に比べていささか異質である。むしろヒ!マラヤに向かうときの職場や家族との人間的悩みや、隊の内部の赤裸々な人間関係などを書いてほしかった。 これほどの山歴をもつ登山家は今後出てこないであろう。その意味で貴重な自伝である。
光文社
いまだ下山せず! (宝島社文庫)
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